スペインのカタルーニャはなぜ独立騒ぎを起こしているのでしょうか?(無理やり)日本に置き換えてみました!
ざっくり言うと
- もともとカタルーニャ州は独自の文化と言語を持ちスペインの中で自治が認められている
- バルセロナ港があるので物流が盛ん。スペインのGDP20%を稼ぎ税収が1番多い
- ぶっちゃけ隣国ポルトガルより規模が大きい(州なのに)
- 払う税金は多いのに州に分配される額は少ない
- 首都マドリードを優先して道路も整備してずるい!
- 独立して税金も言語も好きに使いたいわー
- 実はスペインは、中国を超える世界一の汚職政府と呼ばれている(主に国民から)
もしもバルセロナが大阪だったら?
20××年の近未来日本。徳川幕府ではなく豊臣幕府が続く17の自治区の国で、現在4650万人が暮らしています。一番栄えているのは大阪や京都を含む近畿です。でもなぜか、首都は東京でした。ここでは、
大阪=バルセロナ(人口160万人)
近畿=カタルーニャ地方(人口750万人)
東京=マドリード(人口360万人)
とします。
【解説】スペインという国はもともと、カスティーリャ王国という国を中心にできています。そのため、「スペイン人」の主力はカスティーリャ人であり、吸収されたカタルーニャ君主国民やナバラ王国民は、スペイン人というより「カタルーニャ人」や「バスク(という地方の)人」だという気持ちが強いそうです。
2度の関西弁禁止令
【解説】18世紀、スペイン継承戦争でブルボン家に敗れたカタルーニャは、公でのカタルーニャ語の使用を禁じられます。また、20世紀初めには復活したものの、1936年スペイン内戦勃発から40年間、独裁者フランシスコ・フランコにより、カタルーニャ語は再び禁止されてしまいました。その時代は、自分の名前もスペイン風に変えなければなりませんでした。ちなみに日本語と関西弁以上に、スペイン語とカタルーニャ語は違う言語のようです。沖縄の老人タクシー運ちゃんが何言ってるかわからない(意思疎通は可能)と似ているかもしれません。
1983年・98年に制定されている「言語正常化法」「言語政策法」では、初等・中等教育における使用言語として根付いていたカタルーニャ語でしたが、2013年に行われた教育改善のための「ヴェルツ法」という新法改正で、カタルーニャ語を「特殊選択科目」として位置付けるといった動きが見られました。
それまで初等・中等教育の基礎的な科目だった「カタルーニャ語」を排除して、「特殊選択科目」にしてしまったのです。
日本で例えるなら、国語の授業が「選択科目」になり、全科目の言語が「共通言語」である英語に置き換わるようなもの。こうした中央政府の働きかけに対して、カタルーニャでは激しい抵抗運動と抗議が沸き起こります。
(SYNODOSより)
さらに、2013年のヴェルツ法という法律で、カタルーニャ語を「共通語」から「選択言語」に格下げしてしまいました。そりゃ怒るわ。
(追記180330)読者様から「カタローニャ語はフランス語とスペイン語のミックスみたいなものですが本当に独特でスペイン人はまるで理解できないくらい違います」という貴重な情報を頂きました。ありがとうございます!m(_ _)m そこまで違うと同じ国のひとっていうにはちょっと無理がありますね…(^_^;)
税金が高いのに道路も直してくれない
【解説】バルセロナ港を擁し、スペイン第2位の人口(約750万人)と第1位のGDP(約20%でポルトガル以上)を誇るカタルーニャ州ですが、バスク州やナバラ州と違って財政自主権を持っていないため、一度税金を中央政府に収めて「交付金」というカタチで分配してもらっています。さらに、収める額に比べてその「交付金」はとても少ないのです。そのため、スペインの首都マドリードの高速道路は整備されるのに、カタルーニャ州の高速道路は未整備のままでトンネルも掘れない…なんてことが起きているそうです。しかも、2008年のリーマンショックでスペイン全体の財政が悪化し、カタルーニャ州は他の州の2倍の借金を背負うことになりました。
空気を読まない首相
【解説】現在のスペイン第一党である国民党政権は、中央集権的な政策をすすめており、党首のラホイ首相も「自治州はネーションあるいは国家となったこともないし、なることもできない」(超訳:スペインは単民族国家で自治州とか関係ないから!)と言い、スペイン国内の色んな立場の人の反感を買いました。そう、スペインは思った以上に多民族国家であり、アメリカ合衆国以上の合衆国だったのです。この辺は日本人にはわかりづらいですが、昔の日本でいう「薩摩藩長州藩(薩摩人長州人)であって江戸幕府(江戸人?日本人?)ではない」という感覚に近いかもしれません。
2005年、州議会で採択された新憲章案はカタルーニャを「ネーション(カタルーニャ語でナシオー)」と定義し、行政面でカタルーニャ語の使用を(カスティーリャ語よりも)「優先的」とし、州政府が排他的な権限をもつ分野では、国の各行政機関に直接参加する権利などを要求した。これらは「多元的スペイン」をさらに一歩前進させるものであった。しかし、その文言は国会審議を経てほぼ全面的に削除され、「ネーション」という言葉は法的拘束力のない前文にまわされた。
2006年、新しい自治憲章案は大幅な内容の修正をへてようやく国会で可決され、カタルーニャの住民投票で承認された。しかし、一連の審議に不満を抱いていた国民党は、自治憲章をマドリードの憲法裁判所に提訴し、裁判所も2010年6月その一部に違憲判決を出した。譲歩に譲歩を重ねた自治憲章が違憲とされたことはカタルーニャに衝撃を与え、ここに現行憲法の枠組みの限界を感じた人々は、「自治」を断念し「独立」へ向かうことになった。
(SYNODOSより)
まとめ
カタルーニャ州と中央政府との歩みよりの兆しなのだろうか。住民投票は違憲との立場を採る中央政府であるが、6日になって、ようやく10月1日の独立の是非を問う住民投票を力づくで阻止しようとし、多数の負傷者を出したことを謝罪した。カタルーニャ州議会は、当初9日に予定されていた議会の開催を1日延期した。憲法裁判所が、州議会の開催の差し止めを命じたことに配慮した判断かもしれない。
しかし、10日開催の州議会では独立宣言を強行する可能性はあり、その場合、中央政府は憲法155条に基づく自治権停止という強硬措置で応じると見られる。独立派と治安部隊との再度の衝突にも発展しかねない。
(東洋経済オンラインより)
独立した場合
- EUに入れるかどうか(EUは全員一致でないと入れない)
- サッカーリーグ(リーガ・エスパニョーラ20チーム)から「バルセロナ」「エスパニョール」「ジローナ」が抜けてしまうかも
- 通貨単位はユーロ?ペセタ?
なぜか通貨とサッカーの話題にしかならないカタルーニャ州(というよりバルセロナ)(石川県というより金沢みたいな)ですが、非常に興味深いところです。とりあえず、京都サンガFC・ガンバ大阪・セレッソ大阪・ヴィッセル神戸がいなくなるJリーグより影響は大きいと思います。結果がどうなるにせよ、はじめてスペインについてこんなに調べてしまって愛着が出てきたので、応援しています。事情を知ったら、たしかに独立したい気持ちもわかりますし…
おまけ
独立のシンボルがクレヨンしんちゃん
カタルーニャ地方のテレビ局が、比較的契約料が安かった日本のアニメをカタルーニャ語に積極的に吹き替えて放送してたから、日本のアニメはナショナリズムと結びつきやすいのか。
スペインではクレヨンしんちゃんが独立の旗印になっている?!https://t.co/zGgOgztwIX pic.twitter.com/SARDvYwbj8
— まっきー (@hyuga_kabocha) 2017年10月2日
たしかスペインだとどういうわけか共通語のスペイン語ではなくカタルーニャ語に吹き替えられたクレヨンしんちゃんが放映されていて、カタルーニャ人は子供の頃にクレヨンしんちゃんを観て自分達本来の言葉を学ぶからとても親しみを持っているんだと聞いた事がある。
— ハコ[゚д゚] (@hakoiribox) 2017年10月3日
「クレヨンしんちゃん」はスペイン国内でスペイン語以外にもバスク語、カタルーニャ語、ガリシア語と四カ国語で放送されている。特にバスク語で導入された数少ないアニメとの事。
— ことねおん (@kotoneon62) 2017年10月2日
クレしんがカタルーニャ独立運動のシンボルに使われてるって話、今年急に始まったわけでなく活動初期の2013年頃には使われ始めてて、理由が「国内でテレビ放映されるにあたりカタルーニャ独自の言葉で吹き替えられた(かなり珍しいことだった)」「しかも高視聴率を維持し続けた」からだと
— いい暮らし/げんなり (@bpmttph) 2017年10月2日
カタルーニャの独立運動に、クレヨンしんちゃんとかドラゴンボールとかが、シンボル的に使われるのは、どうやらカタルーニャ語でのテレビ番組がそこら辺だったという事らしい。やはり言語と民族のつながりの深さである。
— Daiki Inoguchi 猪口大記 (@188inox) 2017年10月2日
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶカタルーニャ独立運動
— 1234 (@n33yv) 2017年10月2日
最後までご覧頂きありがとうございました!m(__)m
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こんにちは
私にはcatalan人の彼氏がいます。彼と彼の家族は独立派です。
今まで私の知らなかった情報を書いていただきとてもわかりやすくありがとうございました。ちなみにカタローニャ語はフランス語とスペイン語のミックスみたいなものですが本当に独特でスペイン人はまるで理解できないくらい違います。
私は独立にはあまり賛成はしたくないのですか(なるべく1つになってほしいから) スペイン政府がカタローニャの人に対する態度を見てるととても悲しくなります。これはいまに始まったわけではなですけどね。。。タローニャ人は昔からひどい扱いを受けてるちゃんとした歴史もあるし、聞いたし。。。独立には100%賛成するわけではないですが、スペイン政府には100%反対します。
カタローニャで違法でしたが選挙が行われた時、たくさんの人が投票して武器なしで学校の前に選挙箱を盗まれないように立っていたのにもかかわらず警察はフル防備で罪なき市民を乱暴に扱いときに棒で殴るなどしていました。(民主主義なのに投票すらできないってそもそもおかしいですよね) これについてカタローニャに住んでいないスペイン人に聞いたところ、they deserve itと言いました。信じられませんでした。しかも聞いたスペイン人90%の確率でそう言いました。スペイン政府は謝りましたが私にはどうしても表上の謝罪だったとしか思えません。
色々また話すと怒りがこみ上げてくるのでここで終わりたいと思います。笑
もう直ぐでバルセロナに引っ越すのでこの問題は他人事ではなくなってきました。いろんな日本人に事実を知ってもらいたいし、スペイン政府のカタローニャに対するやり方には不満を持ってほしいです。
これからももっとこのような記事が見れるといいです:)
こんにちは!コメントありがとうございます!m(_ _)m
なんか独立の問題ってめっちゃ複雑で、例えばアメリカも中国も英国もイタリアもEU各国もロシアもわりと独立問題を抱えてたりして、正直「触れたくないし見て見ぬふりをする」というコンセンサスが名の知れた国家の中で出来上がってる感じがしますよね…。なので、スペイン人も思った以上に冷たい?んじゃないかなーって気がします。ロマやイスラム系の問題もありますし。
でもぼくは、今後100年で昔の「都市国家群」みたいにバラけていくんじゃないかって密かに思ってまして。ちょうど大企業から個人や小さな会社が独立して生計をたてるように、国家も小型化してくような気がしてるんですよ。気のせいかもですが(^_^;)
なので、スペインとカタローニャ問題はすごく注目しています。なんか国家寄りの報道も多いですし、「実は暴力的に封殺されてる」なんてあんま記事にもならないですし。その辺はチベット辺りとも共通してますよね…
もしよろしければ、バルセロナに行かれた際、現地で見たことや感じたこと、Tanaaaaaaaamiさんからの視点でいいので教えて頂けませんか?ぼく自身がとても読みたいですし、こちらでも更新できるかなと思います。ご検討よろしくお願い致しますm(_ _)m
(なんだこの文字列…(*_*))
あ、もちろん、「バラける」というのは「個々人(小さな民族や国家)がしっかり独立や自立する」という意味で、国家が崩壊するとかじゃないです(^_^;) なんつーか、その上で、まとまるときはまとまる(1つになる)って感じですかね。みんながもう少し大人になる、漫画【BECK】でいうところの「人間の霊的進化」ってやつです。…意味わからん!(ノ・∀・)ノ